王様の仕立て屋〜サルト・フィニート〜 とは
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[section=性急な更新について]
『王様の仕立て屋〜サルト・フィニート〜』(おうさまのしたてや サルト・フィニート)は大河原遁がスーパージャンプに連載している服飾(主に紳士服)を題材にした漫画である。服飾に詳しくなくとも、その人間ドラマ(狂言?)で十分に楽しめる作品である。
[書き込みの注意]
内容
イタリア・ナポリの場末、泥棒市でサルト(仕立て屋)を開く日本人・織部悠(おりべゆう)。彼はナポリ中の職人たちが「ミケランジェロ」と賞賛した伝説の仕立て職人・マリオ親方が唯一認めた弟子である。彼が開くサルトには、他店がさじを投げてしまう奇妙で難解な注文が次々と舞い込んで来るが、悠はそれらを優れた腕で解決していく。
登場人物
主人公、及びその周辺
- 織部悠(おりべ ゆう)
- この物語の主人公。ナポリの泥棒市でサルトを開く日本人。年齢は連載開始時点(マリオ親方が死亡した翌年)で26歳。連載中の時間経過は明確でないが、大体において 20代後半から 30代前半の男として描かれている。
- ナポリの伝説の仕立て屋マリオ・サントリヨが唯一認めた弟子であり、若輩ながら既に腕は神技の域にある。専門分野を決めている大抵の職人と異なり、上着からシャツ、スラックス、靴下まで幅広く仕立てることができる。これは師匠のマリオ親方が大抵のことを一人でやってしまうことに起因する。客の外見を演出するための知識は広範囲に渡り、時計・香り・筆記具など由来や歴史との関わりへの造詣も深い。また古今東西の名言格言エピソードに詳しく、自分の仕事に添えた一言で顧客の人生観や行動を変えたこともしばしば。
- 仕上がりの割には安い料金設定と仕立ての早さが売り。特に、無茶な急ぎの注文でも料金を積めば受けてくれる。外国人であることと年の若さがマイナスに働いて顧客はそう多くはない。大抵は「ワケあり」の客の依頼である。
- マリオ親方が作った借金を背負い込んでいる。日本円にして約一億円(『無形の遺産』)であったが、(雪ダルマ式に利子のかさむ様な)危ない筋からのものはほぼ返済が済み、残り3000万円ほど(『阿蘭陀さんの制服』時)。借金の返済が縁で地元のマフィアやカモッラにも顔が利く。借金返済のために死ぬ気で働いたため仕立ての腕はあがったが、自分の仕立てと向き合う余裕が持てず、ベリーニ伯爵に「亡き師匠の猿真似」と批判されることになった。(その後個性を反映させた服を伯爵に仕立て、認められた)
- 基本的には穏やかな性格だが、一皮剥けば師匠譲りの偏屈職人気質が顔を出し、鋭く本質を突く言葉や黒い部分も持っている曲者である。日本語、イタリア語と英語が話せるのは勿論、フランス語での会話にも不自由しない。酒好きでよく酒場に顔を出している。特にワインにはうるさいようで、代金の代わりにワインを要求したり(「オペラ座の閑人」)、高級ワインを餌に行動を操られたりしたことがある。
- 実家は東京都台東区にある自転車屋。末っ子(三人以上の兄弟で悠以外は結婚している。兄が少なくとも1人いる)で、両親は健在。父親は若い頃ロードレーサーについて学ぶためにイタリアに滞在した経験があるのでイタリア語を話せる。母親はとにかく飽きっぽい性格で、趣味(習い事)がころころ変わる。
- 裁縫の基礎の基礎は、実家の近くに住む足袋屋のお辰婆さんから習った。
- 女性運は今一つ。ジラソーレ社員など多くの美女に接しているが、彼女達と恋愛に発展する事は殆どない。ヴィレッダやイザベッラには「告られれば考えるくらいの魅力はあるが、不器用なためロマンチックな状況を演出する能力に欠けている」と評されている。唯一エレナからははっきりとしたアプローチを受けて満更でもなかったようだが、最後には「お互い譲れないもののため」交際に至らないまま別れる(但し悠はこの選択を死ぬ程後悔している)。
- マルコ・ジュリアーニ
- 悠のアパートに居候をしている靴職人見習いの少年。実力・立ち位置ともに、今や悠の相棒役にまでなったといえる重要な存在。年齢は明記されていないが、背格好と台詞から推定するに十代前半と思われる。修行の一環として道端で靴磨きをしている(本人曰く「この道十年」)。そこで培った目利きと知識は本物であり、生前牛が何を食べていたかも当ててみせると言う自称・革ソムリエ。その歳に似合わぬ実力に悠が助けられることもしばしば。しかしトラブルを持ち込むことも多い。悠はよく「小動物」と呼んでいる。
- 基本的に「大阪のオバちゃん顔負けの腰の強さ」で知られる典型的なナポリ気質。悠が遠方に出張するときに勝手についていく(最初にミラノに同行した際の脅迫が効いているようだ)。ナポリ男らしく非常に美人好き(曰く「美人を無視する それは罪」)。当然うまくいくとは限らない。ミラノでは、ナポリ弁丸出しでミラノ美人に話しかけて肘鉄を食らったことがある。性格的に向いているのか、賭け事に強く大勝ちしたことが何度かある。
- 悠との生活において炊事を担当。悠の好みに合わせて日本の料理(日本料理ではない)に傾倒していたが、その後イタリア料理、フランス料理、スイーツと守備範囲を広げている(悠曰く「最近方向性を見失ってないかお前」)。パリに行った時なども料理を学んでいた。もともと食べ物にはこだわりがあるようで、社員食堂の料理を批評したり、風邪薬として出されたホットワイン黒コショウ入りを「破壊された味」といって投げ捨てたことがある。
- 現在の日本の文化(マンガやゲーム関係)にも興味津々。とはいえ現在のところ、日本語は少し話せる程度。
- バーテンダー(スーパージャンプ連載漫画のパロディ)、寿司職人(同じくスーパージャンプ連載中「きららの仕事」のきらら本手返しのパロディ)、忍者、噺家・講談師、料理人に扮したり、度々扉絵で見せる少年とは思えない立ち姿など多芸なところがある。オーバーオールが似合う。忍者に扮した時の情報収集能力は凄まじいものがある。
- セルジュ・リヴァル
- フランスのモード服ブランド『リヴァル』の社長アラン・リヴァル(後述)の次男。フランスでは名の知れたモデルだったが、紆余曲折の末、父のブランドの工房の地獄の修行から逃げるべく家出、ナポリの悠の家に転がり込んでいる(ちなみに彼の兄エリックも同様に家出した)。修行に関して触れられると酷く動揺し、「どんだけ厳しい修行なの?」と周りにツッコまれる。悠の仕事振りに感化され、ナポリでは悠の弟子のような立場で仕立てを修行している。
- 居候当初は悠が過去にやっていた「骸骨磨き」のバイトで、人体構造を把握する修行を行っていた(「行わされて」といった方が正確かもしれない。それでも、上記の「工房の修行」よりは激しくマシなシロモノらしい)。尚、「骸骨磨き」のバイトにおいて短期間で「道行く人が骸骨に見える」(人の骨格を見てとれる)という段階に到達した際には、悠をして「やっぱ職人の家系には伝わるモノとかあるのだろうか」と言わしめ、その才能を評価されている。
- ジラソーレ社パリ支店長・エレナ(後述)に惚れながらも、年齢差等もあり相手にされないことを自覚している(彼がフランスから悠の家に逃げ込む遠因となっている。自業自得ではあるが)。
- 「悪童」と呼ばれるテニスプレイヤーと友人だったり、「オリベに一泡吹かせてやりたい」と挑戦的だったり、居所がばれる危険を承知でロンドン入りしたりと、単なるヘタレのボンボンではなく性根の座っているところもある。
ジラソーレ社(創立メンバー)
ジラソーレ社は若者向けカジュアル服ブランド(イタリア語表記は "girasole" でひまわりの意。社章もひまわりをモチーフにしている)。元々フィレンツェのバザーで服を売っていた女子大生の服飾サークルを事業化したものであるが、イタリア国内外に支店(ナポリ、フィレンツェ、ロンドン、パリ、ニューヨークなど)を持つほどに急成長を遂げた(後述の社史も参照のこと)。社長以下主要メンバーは弱冠20代の女性ばかり。若い女性の立ち上げた新興企業だけに対外的な苦労も多いようで、何でも内輪で解決しようとする傾向がある(工房の能力を越えた仕事を創立メンバーが残業して消化、自ら広告モデルを務める、資金難をコンスタンツェの財力で解決、など)。そのせいか仲間内の連帯感はとても強い。創立メンバー各人が物語に登場した時点には少しばらつきがあるが、アンナの回想(単行本1巻)にて、ベアトリーチェ、エレナ、ニューヨーク支店長以外の顔が既にお披露目されている。
- ユーリア・ペルッツィ(ナポリ)
- ジラソーレ社社長。ペッツオーリの実娘。ペルッツィは母方の名字。母親が死んだ時に、ファッションショーで女性に囲まれていた父親の映像の中継を見たことで父に対して心を閉ざし、現在は絶縁状態である(本当はペッツオーリは駆けつけたかったのだが、生中継の仕事がどうしても外せなかった。悠からそのことは聞いているが未だわだかまりは解けない)。
- 父親ペッツオーリを乗り越えることを人生の目標とし、ジラソーレ社の経営に精力を傾けている(サンドラ曰く「父親に振り向いて欲しくてダダこねてるだけ」)。良く言えば商魂逞しく、時に悠が個人で依頼された仕事を自社の宣伝に利用したこともある。しかし、会社の業績の向上やペッツオーリ社へ反抗心だけに目が行くあまり、無謀な事業の拡大や工房の限界以上の注文を受けてしまうことを繰り返している。
- 悠に対してはナポリ展開直後から世話になり、個々の問題の解決から、過密注文の処理のヘルプとして下職をやってもらう(特に悠は、万能・仕事の早さ・業務時間外も働いてくれるなど、重宝する)など、ジラソーレ社にとって重要な存在であることを認め、直接社に迎え入れようとしたこともあるが、その能力に対するコンプレックス、ペッツオーリとつながりが深いこと、悠の物の言い方などから、彼に反発する行動をとることが多い。悠に頼り切りな社の現状にも抵抗がある模様。
- 育ちの良さが無神経と映り仲間と軋轢を生む事もあるが、基本的には皆に愛されるお嬢様(マリエッタ曰く「誰もが持てる訳じゃない凄い力よ」)。だが、彼女の振る舞いにコンプレックスを抱く人物ほど彼女に惹かれ集まって来るので、社内には彼女に対する愛憎入り混じる微妙な空気が流れる事も多い。
- プレゼンティ(後述)のピッツァが大好きで、仕事が終わった後頻繁に食べに行っている。そのせいでかなりカロリーオーバーになってしまったようで、ダイエットや誰もいなくなった就業後の工房で自身の服の仕立て直しを行っている場面がある(仕立て直ししていたことをいつも側にいるマリエッタにも気づかれていなかったことから、糸針の腕は父親譲りのものがあると考えられる)。ちなみに彼の店で食事することとサンドバッグを殴ることが彼女のストレスの解消法らしい。
- 17歳のラウラに10歳年上と言われ怒った(『魔法の裾上げ』)事からラウラとの年齢差は9歳だと思われる。(曰く「じゃかァしい女20代の1年は地球より重いんじゃー!」)。また、プレゼンティの店へ行く時の会話から悠より年下と推測される。Gカップ。
- マリエッタ・カルドゥッチ(ナポリ)
- 社長第一秘書。元は副社長だったが、社長自らがナポリに行く為に第一秘書となった(副社長はサンドラ(後述)が継いだ)。感情にムラがあるユーリアを公私共々支えるしっかり者。得意技は(泥酔したユーリアに対する)ジャーマン・スープレックス。
- 会社設立の折に、恋人よりもユーリア達と仕事をすることを選び婚約が破綻になった。その件もあって、周りの仲間達と比べると地味ではないかというコンプレックスに悩まされていた時期もある。
- ユーリアと同い年。読書家。眼鏡着用。ラウラ曰く「オールドミス」。
- アンナ・ミノッティ(ナポリ)
- 童顔でお下げのお嬢さん。総務。大人しい性格で若干行動がトロい。それを自覚してか、積極的にあちこちのサルトを取材して技術習得する勉強家の一面もある。
- 悠からは「お下げのお嬢ちゃん」と呼ばれている。Cカップ。またラウラ曰く「ごめんなさい中学生かと思ってたわ」。ユーリアの後輩にあたるが、ヴィレッダやイザベッラよりは年上。
- コンスタンツェ・ゼルビーニ(ナポリ)
- ユーリアの第二秘書。実家はジェノヴァの海運王(父が会長、兄が社長)。
- ジラソーレ社の大株主で、ペッツオーリとの提携騒ぎまでは筆頭株主だった。社交界繋がりでイザベッラとも知り合い。ラウラ曰く「没個性」。以前は会社の資金繰りが苦しい時にお金を用意していたことがあったが、兄マッシモがジラソーレの大株主の一人になってからは、(介入のきっかけを与えかねないので)資金を容易に貸せなくなった。
- ソフィア・ドルチーノ(ナポリ)
- フィレンツェ出身。長身(ラウラ曰く「ウド」)。総務。パリ支店の足がかりを作るためにエレナ、サンドラと一緒にフランスでモデルをしていたこともある(パリ支店内にはファンクラブまである)。しかしそういったモデル活動は本人の本意ではなく、着衣時にひどく抵抗したり終了後に落ち込んだりする。シスターの経歴があり、クリスマスには教会で手伝いをする事も。
- モニカ・マルピーギ(ナポリ)
- 総務。子供の時から両親はいない。貧乏で生きるためにスリ・窃盗をしていた結果、前科持ちとなり、更生施設で服飾の資格を取る。ジラソーレ創設時のメンバーはモニカの過去は知っているが、気にすることなく付き合っている。
- その出自故手先は非常に器用で、ジラソーレが服飾サークルだった頃は、創立メンバー・クラリッサ(ロンドン支店長・後述)と共に製作(クラリッサが裁断、モニカが縫製?)を担当していた。器用さを見込まれ手品師のアシスタントとしてスカウトされたこともある。ラウラ曰く「(胸を見て)……女?」とのことだが、それでも一応Bカップ。
- クラリッサ曰く「我慢強い」との事(しかし現状のジラソーレ社工房は、その我慢強いモニカですらパンクしそうなほどの過密注文に追い立てられている)。
- サンドラ・デストーニ(フィレンツェ)
- 副社長にしてフィレンツェ支店長、チーフデザイナー(パリ支店にいた際にはモデルも務めていた)。ペッツオーリに憧れている&(会社のためを思ってとはいえ)ペッツオーリ社との提携を独断で推し進めてしまったため、ユーリアとはやや折り合いが悪くなってしまっている(ただしユーリアを嫌っている訳ではない)。肌の色が褐色のため小さい頃から苦労してきたが、父親によって支えられてきた所があるので、父親を深く尊敬している。ユーリアがペッツオーリを嫌っていることについても「理由は分かるのだが、だからと言って今まで愛を注がれた時間を無駄にするのか」との想いを持っており、それもユーリアとの折り合いが悪くなった原因の一つである。
- ベアトリーチェの行動・言動にヒヤヒヤすることもしばしばある苦労人(「最近胃薬の減りが早いなぁ…」ともらしている)。トスカーナ地方の出身。ユーリアに負けず劣らずのナイスバディの持ち主。
- ベアトリーチェ・パスコリ(フィレンツェ)
- フィレンツェ支店長補佐で会社の金庫番(経済学部卒)。悠からは「オカッパ」と呼ばれている。ヴェネツィア出身。
- 以下に例を挙げるようにかなりの策士である。
- *占いを信じる相手に占いに沿った提案をして注文をとる、疲れている相手が根負けしやすい環境で議論して自分の意見を通す、サルトの鍵を開けられるピッキング技術を持つことや契約書を偽造できる能力を持つことを見せ付ける、など「相手を自分の意図通りに説得、誘導する」手段を複数心得ている。
- *資金繰りのために仲間(サンドラ、ソフィア、エレナ)をモデルとして売り込んだり、(マッシモによるジラソーレ株買い付けを隠すために)やはり仲間であるコンスタンツェを誘拐して日本に隔離したりと、非情な行動をためらわない。
- *緊張状態にあったナポリ店の動向をほぼリアルタイムで掴む、初めて耳にした職人の連絡先をすぐさま突き止める、秘密だったはずのソフィア達のバカンス宿泊先(日本)を知っているなど、情報収集能力が非常に高い。
- *パリでトラブルが起こることを早期に予見し、事が起きたらすぐに悠をパリへ移動させる段取りを行っていたなど、高い実務能力をもつ。
- 彼女を制することが出来るのは、マリエッタ曰くサンドラかユーリアのみ(のはずだったが、最近ではその両者とも最早彼女の手綱は取れていない模様)。唯一対抗できるのは同じ策士のヴィレッタくらいである。だが日本の料理に関しては、肉じゃがを作ってマルコに試食してもらったところ、「65点」と点をつけられ「恐れ入りました」と頭を下げた。
- 買収・心理操作・時には犯罪まがいの実力行使と、目的のためには手段を選ばないので社内外で恐れられている。時折(漫画的表現として)頭に悪魔の角が描かれ、悠は「マジこえーあの女!」と怯え、拉致?された経験のあるコンスタンツェは彼女の姿を見ると怯えて物陰に隠れてしまう。
- 悠をジラソーレに引き込もうとするなど様々な画策をしているが、全ては会社のための行動である。店の成長を金庫番として肌で感じ続けたために店を思う気持ちは大きい。先の先を読んで、あえて他の支店を妨害したりすることもある。
- エレナ・フォルミキーニ(パリ)
- パリ支店長。スーパーモデルの経歴あり。
- 大学を首席で卒業。容姿・能力(家事含む)・性格ともに完璧で、言い寄る男は数知れず。しかし、完璧さが逆に男の劣等感を刺激してしまうので付き合いは長続きしない。悠の事を一人の男として気に入っており、フランス店への逗留を勧めていたが、最後には「お互い譲れないもののため」身を引いた。
- 寒村の生まれで、最初は医者を志していたが学費が無いため諦める。夢は故郷を丸ごと買い上げて面倒をみること。
- ジュリア・ヴィスコンティ(ロンドン)
- ロンドン支店所属で海外営業担当。ハイテンションでとびっきりノリのいい、八重歯が特徴のかしまし娘。ソフィア達曰く「体力バカ」で、39度の熱でもそのテンションは変わらないらしい。
- 生地を仕入れるために密林の奥深くや現地人でも酸欠で倒れるほどの高地に赴くことを厭わず、しかも平然として仕事できる。しかし針仕事そのものについてはさほど詳しくなく、苦労して手に入れた生地の質が「良過ぎて」社内が困ってしまったということも。
- 休暇中の仲間を仕事に巻き込んで引っ張り回し、微妙な関係にあるギルレーズ・ハウス(新)に入り浸り、と図々しいところがある。また、ベアトリーチェの暗黒面を目の当たりにしても物怖じしない殆ど唯一の人物である。
- 営業用の顔をしっかりと使い分けたり、波乱の予感を読み取って事前に先手を打とうとするなど、その性格とは裏腹に頭は切れるようだ。
- ヴィスコンティの姓から、悠が「いい所のお嬢さんかい」と尋ねた所、「本家は貴族筋なんだけど、あたしんチくらい端っこだとパンピーと変わりないっスね」と答えている。この台詞の言い回しから、一応は貴族であるとも読み取れるが、実際に貴族かどうかは明言されていない。
- クラリッサ・レオーネ(ロンドン)
- ロンドン支店長。ジラソーレが服飾サークルだった頃は、前述のモニカと共に製作(クラリッサが裁断、モニカが縫製?)を担当していた。幼少期より親に仕込まれた針糸の技術は確かで、織部もその能力を認めている。(更にロンドンでは技術の研鑽も兼ねてサヴィル・ロウのテーラーの下職を手伝ったりしている)
- 針子修行に明け暮れていた為、世間のことやお洒落に疎く同年代の子達と話が合わないという暗い子供時代を過ごす。それだけに自分の得意分野を認めて服飾の表舞台に引き上げてくれたジラソーレの仲間達に深く感謝している。また仲間達の指導により、スタイル(10キロ減量した)・身だしなみも向上し、美人と称されるほどになった(それでも本人は未だ容姿に自信を持てない)。
- 育ちのゆえか、生真面目で根に内向的な面を持つ。問題に対して自分を追い詰めがちで、仕事面では各方面如才なくこなすが、許容を超える問題が起きるとパニックを起こし根暗な面が顔を見せたりする。通称「絶望店長」(ラウラ曰く「うっわ マジうぜーぇ」ジュリア曰くこれで正常)。更に負荷をかけられると開き直って暴走?状態になってしまう。一方、職人にありがちな我の強さはあまりなく、忠告進言は謙虚に受け入れるタイプ(同じ妙齢の女性職人でもラウラとは大違いと評されている)。
- 長年の針子修行が祟って極度の近視。作業中は度の強い眼鏡をかけるため、普段の颯爽とした姿とは大きなギャップがあり、その「牛乳瓶底眼鏡っ娘」状態を見られるのを避けるために専用の個室を必要とする。気心の知れたジラソーレメンバー以外の他人にこの姿を見られる事はトラウマとなっており、偶然その姿を見てしまった悠との再会時に病的なほどヒステリックな対応をした。
- 針子一辺倒な生い立ちや職人としてのめり込む性格が自分と重なるのか、悠は彼女にエレナとは別な好感触を抱いているように見える。初対面で針糸の腕前を見せろという挑発に近い言葉にも、劇中でも珍しく快く応じている。それだけに再会時の対応は堪えたようだ。
この他の創立メンバーは、ニューヨーク支店に一人存在。
ジラソーレ社(遊撃隊3人娘)
イザベッラがヴィレッダと付き合いを始めた早々、イザベッラが家出してラウラの許に転がり込んで彼女も引き込んだ。ペッツオーリとジラソーレの業務提携騒ぎが持ち上がり、この三人がジラソーレ社で働くこととなる(開発第二課)。以後三人で動くことが多く連帯感は強い。臨時雇いの身分ではあるが、技術・策・人脈のバランスの取れた連携プレーにより、策士のベアトリーチェが本格的に取り込もうと企むチームでもある。- ヴィレッダ・インパラート
- 元修復師の靴職人見習いで、マルコより年上だが彼の妹弟子に当たる。知識欲が極端に旺盛で、色々な事に首を突っ込みたがる。その上、面白い事好きで悪ノリしやすい性格なのでマルコと一緒に暴走したりと、結構性質が悪い。悠は「物知り姉ちゃん」と呼ぶことがある。ヴァイオリンの銘柄をその色艶から見抜いたり、蚤の市で掘り出し物を見つけたりと鑑定眼は非常に優秀。周りをたきつけることがあるが、(それに知識欲が絡まなければ)基本的には良い方向に作用する。
- 故あって現在はラウラ・イザベッラともどもジラソーレ社フィレンツェ支店所属となっており、フランスでの一件を経て、各店のヘルプとして派遣される立場ともなった。大局的にものを考え、仲間や客の気持を読んで仕事を動かす事のできる、三人娘の司令塔的な立場。ベアトリーチェをして「敵には回したくない」と言わしめる存在である。策を練る際にしばしば羽扇を持った姿が描かれるが、これは三国志演義の諸葛孔明を模したもの。
- ラウラ・フォンターナ
- ペッツオーリ社の重役、アンドレア・フォンターナ(後述)の娘。自他共に認める仕立ての天才で、超がつくほどの自信家。しかし根は正直で真面目な努力家である。ユーリアに初めて会った時点での年齢は17歳。14歳にして自分の究極の型紙を作ってしまうほどの非凡な才能を持ち、その腕は悠やペッツオーリも認めている。ペッツオーリに憧れ、超年の差夫婦になろうと企み(元はアンドレアの策だが)、彼が一目置く悠を負かして実力を認めさせようとするが、いかんせん若過ぎて経験不足のため、後一歩悠に及ばない。それでもベリーニ伯爵やカリスマ評論家らも唸らせる品を仕立てるなど、確固としたキャリアを築きつつある。
- 超強気で率直な性格が災いして相手を怒らせるトラブルメーカーだが、流され易いところもあるので逆に災難に遭う確率が結構高いキャラの一人。ビアッジォ親方(後述)の下で図らずもプロ級の接客技術を身につけたが、親方のセクハラには困り果てている。しかし慣れたのか変なクセになったのか、コスプレへの抵抗感は薄くなっているようだ(限度はあるが)。ヴィレッダやマルコからも、コスプレ写真を隠し撮りされたり、悠への好意を紙芝居にされたり、いいようにいじられている。年相応に純情なところがあるのか、ジラソーレ幹部に枕営業を迫った業者がいたことを知った際「男ってサイテエ」と激怒したこともある。Fカップ。
- パリ編から、悠に対して好意が芽生えたと周囲(主にマルコとヴィレッダ)から指摘され始めた(ツンデレはもはや確定の模様)。悠の情けない言動や一見薄情な発言に大騒ぎして反応するあたり、少なくとも悠のことを職人の理想像の一つとして意識しているようだ。
- 髪型から「ツインテール」と呼ばれる事もある。ちなみに向かって左側(当人からすると右側)だけ髪の毛先が巻いている。
- ナポリにやってきた当初からユーリアの家に無理やり同居し、高待遇でジラソーレ社に入り込む。勤務実態はとても良いとはいえないが、職人としても売り子としてもノルマは早々に達成してしまうので正面から文句が言えない(クビにすれば下着をインターネットで売るとユーリアを脅迫しているのも理由の1つ)。一時期、日本に帰国した悠のナポリの自宅を借り、会社を離れてサルトを開業していた。職人の作業量の限界を考えないユーリアとの対立が高じ、一時社と疎遠状態になっていたが、ヴィレッダの一計によりとりあえず和解した(対立については、あくまでも折れないラウラ側にも問題はあると思われる)。
- 遊撃隊として扱われる前、登場当初から居場所を転々としている。理由は修行・逃避・業務など様々。
- *遊撃隊以前----(ミラノ)→ユーリア宅(ナポリ)→サヴィル・ロウ(ロンドン)→ユーリア宅→ジャンニ親方宅(カサルヌオボ)→オリベ宅(ナポリ)
- *遊撃隊以後----オリベ宅→フィレンツェ→パリ→ナポリ→ジャンニ親方宅→サヴィル・ロウ→ナポリ
- イザベッラ・ベリーニ
- ベリーニ伯爵の娘でカルロの恋人(大学の乗馬サークルの後輩にあたる)。ジラソーレ社の大株主の一人でもある。家柄ゆえに社交界に顔が広く、有名人にでもあっさりとアポを取れたりする(ラウラ曰く「時々怖いわあんたの人脈」)。おっとりした性格で育ちに見合った気品もあるが、時に大胆な行動――(ヴィレッダの焚き付けで)いきなり日本まで家出したり、その日本の秋葉原でどっぷりヲタクロードにハマり、誤解の末に怒涛の勢いでカルロの浮気を問い詰め(しかも公衆の面前で)たり――に出ることも。極端に走る(ところもある)性格と、食べることに関しては父親譲りの模様。なおオタク趣味はイタリアに帰ってからも続けている様子。
- 現在はジラソーレ社社員として専らラウラとヴィレッダと3人で行動している。
- カルロの件でかなり早くに登場はしているが、本格的な登場(とキャラが砕けていくこと)は日本編からである。
その他準レギュラー
イタリア(ナポリ)
- ベリーニ伯爵
- ナポリの顔役実力者で世界経済にも影響を与える実業家。粋人としても有名。伝統文化の保護、育成にも尽力する。イザベッラの父。基本的には公明正大な人物ではあるが、そのプライドに抵触した人間に見せる偏狭さ加減は、いささか度を過ぎた面もある。実際に使用できるギロチンを所持している。
- 悠のことは多方面から噂を聞いてはいたものの、過去にマリオ親方との行き違いによる交流の断絶があったがゆえに、つい最近まで直接に関わることはなかった。悠の仕立て屋としての欠点(腕は良いが仕事自体はマリオ親方のコピーのようなものであり、悠らしさがない)を正しく指摘した事のある唯一の人物(ただケチをつけるだけの人物なら多いが、悠の仕事の意図を正しく理解した上で批判した人物はベリーニ伯だけ)。
- カルロ・スパランツァーニ
- トスカーナの没落男爵家の当主。御家再興が目標。悠の仕立てたスーツのお陰でベリーニ伯爵の知遇を得、彼の紹介で商社に就職し世界中を飛び回る。その激務をこなすだけあって非常に有能(12種類もの言語を話せる)かつ精力的な人格者。イザベッラとは相思相愛。前述エピソード以降は悠の友人としても度々登場している(ベリーニ伯やイザベッラ絡みが多々であるが)。
- 二コラ・ロンギ
- スパランツァーニ家三代に仕える執事。カルロを孫にも等しい宝として、男爵家が没落した後も唯一彼を見捨てず尽くすのだが、尽くし過ぎてしまい時々煙たがれる。彼が顔面をどアップにして叫ぶ『ひかえおろう庶民!』という台詞は最早このマンガの名物と化している。悠は「三太夫さん」と呼ぶ。
- プレゼンティ
- 通称ドン・メローネ・ロッソ(スイカおじさん)。ナポリ場末のピッツェリアの大将。店の看板のピッツァマルゲリータの絵がスイカに見えることが渾名の由来らしい。彼の作るピッツァはユーリアを虜にする程の味。修行時代からの悠を知る人物であり、ユーリアに悠の過去を教えた。若気の至りで腕全体に蛇の刺青が彫ってある。
- ペピーノ親方
- 靴職人。マルコとヴィレッダの師匠。マルコ曰く「進化論も信じてないガチガチのクリスチャン」。良い靴を作るためなら水虫の足に触る事も辞さない真の職人。
- マリオ・サントリヨ
- 故人。彫刻を刻むように客の体型に布を沿わせる技術により、かつてナポリ中の極めし職人に「ミケランジェロ」と絶賛された伝説の名仕立て屋で、悠とペッツオーリの師匠。偏屈で職人気質な性格な上、経済観念が欠落しており、死亡時には日本円で約1億もの借金(死の直前に受けた自身の手術費等も含めてだが)を背負っていた(借金は悠が地道に返済して残り3000万円ほど)。
- ジャンニ・ビアッジォ
- マリオの兄弟子に当たる人物。礼服をフルオーダーで作れる数少ない職人。かなりの高齢だが、老いて尚成長する技術の卓越振りには悠も感嘆している。何処で仕入れた知識かは不明だが、弟子入りしてきたラウラにボケたふりをして猫耳やメイド服などコスプレまがいの服を作って着せては楽しんでいる。
- カサルヌォボに隠居した後は下職で仕立てに関わっていたが、仕事が減ったため息子のパスタ問屋で生計を立てている。
- ロドリーゴ・サンチェス
- 悠をして、「俺すら足許にも及ばない」と言わしめるほどの腕前のパンツ職人。実家が代々職人の家系である故に培われた超絶の腕前だが、それで得られる収入の乏しさに厭気がさしていて、40前の年齢であるにも係わらずアイドルを目指してオーディションを受けまくっている(ちなみに、本人に年齢を指摘すると激怒する)。カモッラ相手に大借金している現状。外見そのものは結構いい男なのだが、(恐らく金がないゆえに)伸ばしっぱなしの髪と髭から、セルジュ曰く「フック船長」。
- なお、初登場時点の悠との会話(合言葉)から、おそらくそこそこ重度のガノタと推測される。
イタリア(その他)
- ジャコモ・ペッツオーリ
- 世界的ブランド「ペッツオーリ」のデザイナー兼社長で、ミラノ貴族ペッツオーリ家の流れを汲む億万長者。悠の父親曰く「ペ様」。
- 技術の習得に貪欲な性格であり、既にファッション界のカリスマとして確固たる地位を築いていながらマリオに弟子入りしたこともある。兄弟子の悠に何かと協力する。悠の借金の保証人でもある(本当は全額肩代わりするつもりだったが、悠が「そこまでお世話になれない」と断った為、“ならばせめて借金の取立てが緩くなるように”と保証人になった)。そのため悠にとっては、亡くなったマリオ師匠以外では唯一頭の上がらない人物。長年の針仕事で極度の猫背(正確には「屈伸体」)である。
- マッシモ・ゼルビーニ
- ジェノヴァの海運王ゼルビーニ家の跡継ぎ。コンスタンツェの兄。現在は会社社長。ジラソーレ社の筆頭株主。以前はジラソーレの事を「女子大生の道楽」としか見ていなかったが、ベアトリーチェの売込みにより、会社の成長とペッツオーリ社との提携を見込んで株を買い、経営に介入。そのためコンスタンツェら本社メンバーの経営方針を押さえ込む形となっている。後にベリーニ家の介入などナポリ店の抵抗を知った時も「敵は大きい方が潰し甲斐があるからね」と笑顔で発言するなど、マネーゲームに関しては絶対的な自信を持っていると思われる。「眉一つ動かさずに自分の都合を後輩に押し付け」ることのできる上流人でもあるが、かつて家が困窮していた時に助けてくれたシモーネ・アゴスティの両親には恩義を感じている。ジラソーレの手伝いをする悠の実力を買っており、個人的に仕事を依頼した事も数回ある。
- アンドレア・フォンターナ
- ラウラの父。ペッツオーリブランドのスーツ部統括・服飾教室教頭を勤めていたが後に日本店の店長となる。日本語が喋れる。先祖代々貴族に仕えた服飾の職人の家系。社での立場を上げるため娘をペッツオーリと結婚させようと画策していた(ペッツオーリ本人には見透かされている上に、当のラウラにはすでにその気はなくなったと思われる)。二つ以上の物事を同時に考えるだけの小器用さはない(腕のいい職人とは本来そういうものである)。良くも悪くも中間管理職(マルコ曰く「悲しいほど小物」。ペッツオーリ曰く「悪い人間ではないんだが」)。
- シモーネ・アゴスティ
- 造船業の金看板、アゴスティ造船の社長の馬鹿息子。両親は立派な苦労人なのだが一人息子なので甘やかされて育った。「才覚すなわち財力」と言い切る類の人間で、つまり財力を取ったら何も残らないタイプ。バーバード大学やコロムビア大学を首席で卒業した資格を持つ「ニワトリ脳」。
- 悠に無茶な注文をしてはヒドい目にあう(自業自得ではあるが)。悠曰く「金貰ってああいうバカ旦那がパーティでズッコケる様を想像できるから楽しいじゃねえか」。
- “ある程度の生活レベルに達していない女性とは関係をもった内に入らない”という考えを持つ、女の敵でもある。通称「白鳥さん」。
イギリス(ロンドン)
- フレデリック・ウォーレン
- 英国王家の外戚に当たる貴族。世界経済に影響を与えるほどの実業家でもある。悠の腕を見込み、ロンドンのサヴィル・ロウに悠のための店を提供しようとした。
- ギルレーズ・ハウスのお家騒動においては、旧店(保守)を陰ながら支援し、旧店派グループのリーダー的な立場で情報収集や対策の立案実行を行った。パウエル親方をナポリに派遣し、悠を再びロンドンに呼び寄せたのもその一環である。
- パウエル親方
- サヴィル・ロウで、もしくは世界で一番と言っていいほどのウェストコート職人。作るウエストコートは血が通っていると言われるほど出来がよく、そのためにサヴィル・ロウで引き抜き合戦が起きたこともある(貴族が調停に入ってどうにか収まった)。ある事件のせいでウエストコートを作ることをやめていたが、悠との出会いにより再びサヴィル・ロウに戻る。
- ナポリから来た日本人、という意味を込め、悠のことを「ナポリタン」と呼ぶ。
- ギルレーズ・ハウスの騒動から起きるであろう職人の質の低下を心配したウォーレン卿の頼みで、ナポリの職人に声をかけていた。
- その職人然とした言動からは余り想像が付かないが、本家筋は海軍のお偉いさんという結構良い家の出である。
- チャールズ・エバンズ
- イギリスの石油王にしてウォーレン卿の縁者。若い頃女性に関するトラウマを負い、その反動で「女関係のもみ消しにMI6(英国情報部)まで動く」と揶揄されるほどの女たらしになった。ラウラやエレナにも振られた過去がある。ちなみにバツ3。
- 没落していた一族を復興させた事業家としての手腕や、エレナを巡る勝負の際の高い社交性や素直に負けを認める態度など、女性問題を除けばかなり紳士的な人物である。
- ヘンリー(ハリー)・ベーコン
- ロンドンの仕立て職人。サヴィル・ロウの庶民向けの老舗「ギルレーズ・ハウス(GIRULE'S HOUSE)」の後継者の一人と目されていたが、方向性(伝統からの脱却。特に外国人の職人の受け入れに関して)の点で対立し、その結果独立して同名の新店舗を開設した。保守派と渡り合うために豊富な資金(出所はヒューイット卿)で世界中から職人の引き抜きを図ってロンドンの服飾業界に嵐を巻き起こしたが、特にエリック・リヴァル(下記)をチーフカッターとして採用し、技術力と方向性をアピールした。
- ジラソーレロンドン支社のクラリッサとは友人づきあいをしていた。が、その実ヘンリーの方は彼女を女性として好いていたようだ(さっぱり気付いてもらえなかったが)。
- エリック・リヴァル
- アラン・リヴァルの長男でセルジュの兄。リヴァル社の地獄の工房生活に耐え兼ねて、修行が半端のままイギリスに家出した。それでも上記にあるように現在はヘンリーが立ち上げた新ギルレーズ・ハウスのチーフカッターに選ばれるあたり、腕前は確かな様子。弟・セルジュと同じように父・アランをかなり恐れており、その父から匿って貰っていた恩がある為にヘンリーには逆らえない。心の何処かでは父親に認められたいと思っている(この思いは兄弟共通)。ちなみにエリック本人はヘンリーの強引なやり方に全面的に賛同している訳ではない。
- ラルフ・ヒューイット
- イギリス貴族ヒューイット家の当主。主に香港で活躍する実業家。ヘンリー・ベーコンを援助し資金を提供していた。
- イギリス人の父親と香港人の母親を持つ。幼少期を香港の下層階級の中で過ごし、その後イギリスに連れてこられ、少年時代に貴族としての教育を受ける。このような事情から常に「よそ者」として扱われ、精神的土台としての「祖国」について悩んだこともある。
- 中国への返還によって、香港から英国的雰囲気が失われていくことを気にかけている。ベーコン達への資金提供もその対策の一つであった。
フランス(パリ)
- アラン・リヴァル
- フランスのモード服ブランド「リヴァル」の総帥。ジラソーレ社設立初期にエレナ等がモデルのアルバイトをしていた縁で、以来ジ社と友好的な関係を保つ。ジ社とペッツオーリ社が提携を結んだ事から一旦態度が硬化したが、悠と仕立て勝負を行った事でわだかまりが解け、悠とも交遊が生まれた。
- 実家は田舎の仕立て屋。若い頃画家を夢見てパリに上京するも、夢破れて辛苦を舐めるという青年時代を過ごした苦労人。それだけに苦労知らずで順風満帆な人間、特に貴族出で同業のペッツオーリに強い反感を持っている。普段はその負の感情は隠されているが、酒に酔った際などに極めて大人げない振る舞いとして現れ、また劣等感を感じたりした際の落ち込み方などかなり極端な所がある。またライバルになりそうなものには極端に態度が硬くなる。
- 極度の自力本願主義であり、その工房の修行は地獄であると、息子であるセルジュが語っている。入った者の四分の三が辞めていくという特殊部隊並みに厳しい修行に音を上げて、跡取りたる二人の息子は16巻時点で双方家出中(長男はイギリス、次男はナポリ。彼が激昂してそれを息子達が恐れる様子は、最近ではほぼギャグパートになりつつある)。本人曰く、確かに指導が厳しいのは事実だが、業界を生き抜く厳しさとは比較にならないし、厳しい指導をした分将来(=師であるアランの引退後)の成功を保証できる、とのこと。
- マダム・ロスタン
- フランスの高級紳士服ブランド「ロスタン」の創始者。御年九十歳近くの老婦人。生まれはシチリアであるが、おそらくフランス人と結婚し、フランスに移住する。
- 元々は針子で、移住後に近所の子供達に作った服が評判となる。そこから夫の協力でブランドを立ち上げ、今日の「ロスタン」へ成長させた。
- 現在、会社の実権は息子のシャルルに譲り、半ば隠居という形であるものの、顧客の事情を勘案したり、揉め事の裁定者として動くこともある。悠のことを職人としても人としても気に入っており、できれば自社に迎えたいと思っている。
- 名前の由来はおそらくエドモン・ロスタンから。初登場が「シラノ・ド・ベルジュラック」をモチーフにした「愛しのロクサーヌ(前後編)」の回だったためと思われる。
- シャルル・ロスタン
- 「ロスタン」の2代目社長。エレナを巡る決闘で仕立てたロスタンのコピー品を見て悠の腕を認め、以後、何かと悠を自社に迎えようとするが、ペッツオーリ社やジラソーレ社同様に断られる。
- 母の経営方針を継ぎ、服飾に対する見識も高いが、裁縫は苦手。
ジラソーレ社社史(抄)
正確な年代は不明であるので、主要事項を時系列順に並べる。- ユーリアが大学の服飾サークルの面々とフィレンツェで起業する。社長がユーリア、副社長がマリエッタで、筆頭株主はコンスタンツェ。
- ソフィア・サンドラ・エレナがリヴァルでモデルのアルバイト。スーパーモデルとして活躍し、パリ支店開店の下地となる生地の仕入ルートの確保、資金稼ぎと人脈作りを行う。
- パリ支店開店でモデル3人が配属。その後、ロンドン・ニューヨーク(開店順序は不明)に支店を置く。
- 若者向けカジュアル服に加えて高級婦人服も扱うようになる。
- 紳士服業界に進出。ナポリに支店を構える。
- 重要拠点として創業メンバーの多くを投入し、社長も常駐して指揮を執る。この時、副社長にサンドラが就任し、フィレンツェ本店の指揮はサンドラとベアトリーチェの手に移る。
- ナポリのサルトに圧力をかけて傘下に納め、早期にナポリを制圧するという経営方針であったが、これに失敗する。悠以外のナポリ中のサルトから反感を買って協力を得られなくなったため、その分の負担が創業メンバーにかかり、彼女らはナポリ支店から離れられなくなる。
- ペッツオーリへの対抗意識が発端のため、開店までは失敗を危惧する意見も多かった。
- 「将来の社長の母」と名乗る娘(ラウラ)がナポリ支店に姿を現し混乱を引き起こす。その後、彼女は入社するが勤務態度と能力で更に混乱を引き起こす。
- 地元のナポリ仕立てに対抗して、納期の早さを売りとして攻めの経営を行う。しかし、結果として自社工房の処理能力を越えた量の注文を受けるようになり、創業メンバーの残業が目立つようになる。
- ラウラ、修行のため一旦ジラソーレ社から離れる。契約職人として関わる。
- フィレンツェ本店とナポリ支店との間にお家騒動が勃発する。
- フィレンツェ本店が独断でペッツオーリ社と接触(ベアトリーチェの計略)。秘密裏に業務提携を画策する。
- マッシモが筆頭株主となり、株主として経営に介入される可能性が発生(コンスタンツェがナポリの社長側なのに対し、マッシモはフィレンツェ本店の副社長側の方針に賛同しているため、乗っ取りの可能性が出てくる)。
- 業務提携の情報がナポリに伝わり(ペッツオーリ日本支社-ラウラ経由)、ナポリ支店は対応を迫られる。
- 新たにベリーニ家が大株主となり(ヴィレッダの計略)、事態は更に混迷する。株主権限でヴィレッタ・ラウラ・イザベッラ(後のいわゆる遊撃隊)が幹部として送り込まれるが、混乱を嫌うナポリ店の意向により3人はひとまず開発第二課に配属(事実上の閑職)。
- 業務提携に関する決定を売り上げ競争の結果で行うことになる。このため、フィレンツェに紳士服向けの第二支店を置き、アンナと遊撃隊を配属させる。
- フィレンツェ本店が競争に勝利。ペッツォーリ社との業務提携決まる。以後、本社はナポリに移転し、第二支店と統合したフィレンツェ本店は一支店となる。遊撃隊はそのままフィレンツェに異動。
- ペッツォーリ社との業務提携により、パリ支店とリヴァルとの関係が悪化。解決のため遊撃隊をパリへ派遣。その後、悠の働きでリヴァルとの関係回復。
- パリ支店の強化を目的に一時的にソフィア・サンドラをパリへ派遣。恒例のファッションショーにて新たなビジネスモデルを確立する(それがナポリ本店の工房を更に圧迫する一因ともなる)。
- 遊撃隊をナポリ本店へ異動。ただし、各店のヘルプの際には遊撃隊を向かわせる方針。
- ナポリ本店の仕事量が限界に達し、主要メンバーと社長との対立が本格化する。この頃、悠がベリーニ伯の仕事にかかりっきりになったため助けも借りられず更に事態悪化。殊にラウラは辞表を提出する。
- 工房のヘルプとしてロンドン支店のクラリッサがナポリ本店に来るが、すぐに帰る。
- ギルレーズ・ハウスを発端とするロンドンのお家騒動にロンドン支店が巻き込まれ始める。ラウラと和解し、ロンドンに遊撃隊を派遣する。
漫画的表現についての付記
[situation=節]- コマの背景には
- イチゴ(白地に枠線なしのイチゴの絵が浮かんでいる)
- 斜めの交差(×)または八角形状の渦巻きからなるタイルパターン
- サボテンのパターン
- 絵文字の列または象形文字の列
がしばしば描かれる。
- 例を説明したり何かに喩えているコマにおいて、筆致を古い漫画(鳥獣戯画から水木しげるまで)に似せて描いている。
- 顔の輪郭が丸・(逆)三角・四角の三人組がチョイ役を勤めることがある(輪郭以外の目鼻立ちや役柄は一定でないので、固定キャラではない)。
- 一話限りのキャラが有名人(主に芸能人)に似せて描かれていることがある。
- 顔のアップシーンを吹出しで約半分隠す。
- 初期の扉絵は殆ど悠がメインだったが、マルコ登場後はマルコ単独の扉絵が多くなる。更にキャラクターの増加に伴い様々なキャラが扉絵を飾るようになる。
- 主要キャラが省略形で表現されることがある(悠が丸や海老(ザリガニ?バルタン星人?)の輪郭にメガネで表現されていたり、ラウラがツインテールの片側で表現されたりする)。
補足
- 副題の「サルト・フィニート」とは『究めし職人』という意味で作中では使われているが、実際にナポリのサルトに確認したところそのような言い回しは存在しないとのこと。
- コミックの表紙はスーツの襟から腰の辺りの写真を背景にタイトルと登場人物のイラストがつく。
- 1-10巻--織部
- 11巻以降--11巻マルコ、12巻ユーリア、13巻ラウラ、14巻ビアッジォ親方(猫耳!)、15巻ベリーニ伯爵、16巻セルジュ、17巻エリック
- コミックの帯には収録作の台詞の一部(身だしなみに対する指針、仕立ての哲学など)が引用される場合と、推薦文が寄せられる場合がある。
- 各話タイトル(および話の内容そのもの)は様々なジャンルの有名な作品やエピソードを下敷きにしたものが多い。特に10巻以降に顕著。
- 他の作品のタイトルそのもの - 「裸の王様」「シェルブールの雨傘」「青の別れ」など。
- 他の作品中の語句 - 「連環の計」「一ポンドの胸肉」「刃傷松の廊下」など。
- 他の作品のタイトルをもじったもの - 「兄貴の一番長い日」「鰻の作法」「ジェノヴァの商人」など。
- 1巻丸々がベリーニ伯爵のスーツ編となる15巻(計6話収録)では、長編に合わせて全タイトルが忠臣蔵の時系列に沿ったものになっている。
参考文献
- [volume=第2巻]
- [volume=第3巻]
- [volume=第4巻]
- [volume=第9巻]
- [volume=第10巻]
- [volume=第13巻]
- [volume=第14巻]
外部リンク
王様の仕立て屋〜サルト・フィニート〜のリンク元
- [[Google]] 王様の仕立て屋 マルコ 本手返し
- [[Google]] ラウラ・フォンターナ ツンデレ
- [[Yahoo]] オーダーメイドの靴作り 女性職人
- [[Google]] ドン メローネ ロッソ
- [[Yahoo]] フィニートとは
- [[Yahoo]] サルト・フィニート
- [[辞書]] 王様の仕立て屋
- [[Google]] ベアトリーチェ セルジュ コミック
- [[Google]] 織部 ザリガニ 仕立て屋
- http://wikipedia.atpedia.jp/m/wiki/%E5%A4%A7%E6%B2
- [[Google]] 王様の仕立て屋 クラリッサ
- [[Google]] 王様の仕立て屋 クラリッサ 居候
- [[Google]] ベアトリーチェ セルジュ
- [[Google]] 王様の仕立て屋
- 水曜どうでしょう
